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松濤美術館 地下2階ホール 2018.9.1
EXHIBITION

吉増剛造×大友良英コラボレーション「薄明り、、、、、ターンテーブル」
松濤美術館 地下2階ホール 2018.9.1

Written by 勝井祐二|2018.10.7

©2018渋谷区立松濤美術館

「涯ノ詩聲 詩人 吉増剛造 展」が開催中の松濤美術館で、9月1日に上記のタイトルの企画が行われた。(展覧会は9月24日終了)開場のアナウンスがあった午後1時30分過ぎに地下2階の展示室に入ると、吉増剛造氏は既に用意された場所に座っている。用意された場所というのはこちらの判断でしかないが、そこには紙に書かれた作品や様々に音の出る道具類、何種類ものインクの入った瓶、これから朗読するテキストなのか巻物状に丸められた紙、小さなターンテーブルが置かれている。

横には大友良英氏の楽器がセッティングしてある。数種類のエフェクターペダルが繋がれたエレクトリックギター。他にも大太鼓、金属製のお椀状の楽器、ベル、シンバルなどなど叩いて音の出るものから、数種類のリコーダーなどの笛類の楽器も有る。並べているというよりは手当たり次第に持って来てぶちまけたという風情だ。そしてやはり傍に小さなターンテーブル。会場に並べられた椅子席は真ん中に道が開けられていて、横と後ろの壁際にもぐるりと通路が確保されている。そこには夥しい数のレコードが無造作に置かれていた。

展覧会の主、吉増剛造氏にはワイヤレスのコンタクトマイクが装着されていて、会場の四方に取り付けられたスピーカーから声が出る。開演予定の時間前に最前列のお客さんに何やら話しかけたり、時に小型の槌で床やレコードなどを叩いている。これは既に始まっているのだろう。比べて大友良英氏は静かに見守っている。
しばらくして開演予定の時間の頃、一瞬の静寂の間があってコラボレーションが始まった。

©2018渋谷区立松濤美術館

吉増氏は声を休むことなく同時にインクの瓶を取り上げて中の液体を床に落とし始めた。すぐに立ち上がりレコードの敷き詰められた花道をインクを垂らしながら歩き始める。大友氏もすかさず立ち上がり様々な楽器を叩き、鳴らし、歩き始めるとすぐに足元のレコードを拾って椅子席の背に叩きつけて割る。二人は別々の場所で、時には繋がるように一緒に歩きながら客席を回り、インクを垂らし壁や床を叩く。

大友氏がターンテーブルに傍のレコードを拾ってかける。そしてわざとまともな再生がなされない針飛びして繰り返し再生される状態にする。2台がそれぞれのリズムでループすることで出来上がる複雑なシーケンスが繰り返されて、ある固定化された空間が出来上がったように感じた。その不思議な間合いにさらに大友氏や吉増氏は声や楽器を重ねていく瞬間が積み重なり、とても綺麗な空間だった。しかし吉増氏が槌でターンテーブル上のレコードを叩きつけ、それもすぐに次の音と声の重なり合いに変化していった。ほとんどギターに触れることなくコラボレーションは終了。

吉増氏が「アンコールで大友さんがギターを弾きます。」と大友氏にふり、ギターが奏でられている間はじっと静かに聴き入っていた。

INFORMATION

吉増剛造×大友良英コラボレーション「薄明り、、、、、ターンテーブル」

松濤美術館 地下2階ホール
2018年9月1日
出演:吉増剛造(詩人)、大友良英(ギタリスト)
  「涯テノ詩聲 詩人 吉増剛造」展
2018年8月11日(土祝)―2018年9月24日(月休)

WRITER PROFILE

Yuji Katsui勝井祐二
勝井祐二 Yuji Katsui

(音楽家/ヴァイオリニスト) 1964年北海道生まれ。エレクトリック・ヴァイオリンの表現の可能性を追求し続ける第一人者。「1991-1992 JAPAN – UK Festival」の中心展示「VISIONS OF JAPAN」(Victoria and Albert Museum)のサウンド・ディレクターを務め、渡英。帰国後、日本最初期のレイヴ・パーティー「WATER」をオーガナイズする。「BONDAGE FRUIT」「DEMI SEMI QUAVER」「TWIN TAIL」「渋さ知らズ」「カルメンマキ andサラマンドラ」「SIGNALS」を始め、様々なグループ/セッションに参加。96年、山本精一と「ROVO」結成。フジロック・フェス、メタモルフォーゼ、ライジングサンロック・フェス、アラバキロック・フェス、ドイツ・メールス・フェス等の国内外のフェスティヴァルに参加するなどして、90~00年代の東京のジャンル越境(オルタナティヴ)のシーンを牽引した。02年に初来日したファナ・モリーナ、フェルナンド・カブサッキとの共演を機にアルゼンチンの新しい音楽シーンと交流を深める。09年には、サイケデリック・ロック・バンド「GONG」の結成40周年を記念したアルバムに、スティーブ・ヒレッジと共に参加。

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