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PERFORMANCE

ダンス保育園!!
2018.10.7. ワールド北青山ビル エントランスホール

Written by 小林エリカ|2018.12.3

撮影:片岡陽太

 

「ダンス保育園!!」という!!つきの洒脱でいて革命的なネーミングが、まず秀逸である。

ありていで無難な親子で〇〇のようなアートやワークショップ的なものとは一線を画する強度がある。実のところ、私とて親子で〇〇のようなものにもお世話になることも多々あるのだが、正直「親子」といわれると、私はどうしてもプレッシャーを勝手に感じて構えしまう。親である私ががんばらなくちゃとか、子どもに何か教えなくちゃとか。

でも、「保育園」しかも!!までつけられていわれると(しかも会場もその!!オーラに満ちているし)、私もなんとなく気持ちは!!になって、気づけばはじめて、私は親子としてではなく、ただそこにいる子どもたちとまっすぐに対等な立場で、参加できたような気持ちがする。そのことは本当に素晴らしい幸運で、アートそのものの醍醐味!!と私は!!つきで思うのだ。

 

撮影:片岡陽太

 

2018年10月7日、Dance New Air 2018内のプログラムとしてワールド北青山ビル・エントランスホールで行われた「ダンス保育園」13:30からの回、タップダンサーSAROさんのクラスに2歳の子どもと一緒に参加した。

元 珍しいキノコ舞踊団の篠崎芽美さんのクラスにも興味大だったが、タップは私にとって永遠の憧れ(中学時代1年くらいタップ教室にも通ったことがあったが発表会の衣装がダサかったのが嫌でやめてしまった)だったので。

ミュージシャンVenue Vincentのライブとタップのリズムを前に、子どもたちがマットの中を駆け回り、大人たちも一緒になって身体を揺らす。最後はみんなで一緒になってステップを踏む。わけても素晴らしかったのは、12歳のNOBOさんのパフォーマンス。子どもたちも自分たちと一番年が近いNOBOさんの可憐なパフォーマンスに目を輝かせていた。

考えてみると、私がアートを愛するのは、アートの前では、私という人間がただひとりの私という存在になれるからかもしれない。素晴らしいアート作品(それが絵画でも文学でも音楽でもパフォーマンスでもどんなものでも)の前に立つと、あらゆる立場や役割(日本人だとか、女だとか、年だとか、仕事だとか、貯金額だとか)から離れて、ただ今の時間を生きるひとりの人間として、そこに向かい合うことができるから。

 

撮影:片岡陽太

 

「ダンス保育園!!」実行委員会がサイトに掲げている言葉を読むと、「ダンス保育園!!」というのは、親子でダンスを学ぶとか楽しむだけに留まらない、壮大なひとつの芸術的なプロジェクトであることがはっきりわかる。

「日頃から、ダンスなどのスタジオと保育のスペースは実は親和性が高く、安全でクリエイティブな環境なのではないかと感じていました。朝から夜までそこに出入りするのは、並はずれて身体感覚が鋭敏で、安全性に対して意識が高く、身体表現の喜びを知っているダンサーたちです。ハイハイする赤ちゃんと同じ、フロアに近い目線で、お互いの身体の声に耳を澄まし、見守っている人たちなのです。」

親と子でも、大人と子どもでも、ひとたび互いの身体の声に耳をすませば、それぞれが互いに多くを学ぶことができる。

慌ただしい日常生活の中で、ついつい親は大人はその役割に甘んじて、子どもたちの声に耳をすまし、そこから学ぶやり方を忘れてしまう。けれども、!!つきでそれを思い出させてくれるアートがあるということに、私は全力でありがとう!!を伝えたい。

INFORMATION

ダンス保育園!!

Dance New Air 2018 公式プログラム
2018年10月7日
講師・振付:篠崎芽美、SARO
ワールド北青山ビル エントランスホール
空間構成:永山祐子(建築家・デザイナー)
   参加アーティスト:ダンス保育園!!ダンサーズ 他
歌と演奏:国広和毅、ヒデロー 他

WRITER PROFILE

Erika Kobayashi小林エリカ
小林エリカ Erika Kobayashi

小林エリカ(作家・マンガ家) 1978年東京生まれ。2007-8年AsianCulturalCouncilの招聘でアメリカ、ニューヨークに滞在。 現在、東京在住。2014年小説「マダム・キュリーと朝食を」(集英社)で第27回三島由紀夫賞候補、第151回芥川龍之介賞候補。 著書は”放射能”の歴史を巡るコミック「光の子ども1,2」(リトルモア)、作品集に「忘れられないの」(青土社)他。

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